犬の予防注射
犬ワクチンチェック
犬の伝染病は、ワクチネーションによる予防がとても重要です。
近年、ワクチネーションにより十分な抗体がある動物に対して毎年ワクチンを接種するべきか否かの論議がなされています。
一方ワクチネーションをまったくしなければ、いずれワクチン免疫が低下し伝染病の危険にさらされてしまいます。
世界小動物獣医師会は、ワクチネーションガイドラインを提示しました。
それは、個々の犬の伝染病に対する抗体価検査を行い、抗体価が不十分な個体に対して免疫学的に正しいワクチネーションを実施し、ワクチン免疫が十分な個体に対しては、ワクチネーションを実施しないというものです。
これにより不要な副反応の発生率を軽減でき最適なワクチネーションが実施できるというものです。
その抗体検査を院内でできるキットが日本でも販売になり、当院でも検査できるようになりました。
詳しくは、犬用ワクチンチェックのホームページで。
犬混合ワクチン
現在日本では、5種混合ワクチンから9種混合ワクチンの各製品が認可されています。ワクチン接種は、生後2ヶ月目と3ヶ月目の2回接種を行い、その後は1年に1回追加接種をしていきます。近年子犬に関しては、生後4ヶ月目に3回目を接種したほうが良いという学説もあります。
ワクチンで予防できる病気は、犬ジステンパー、犬パルボウイルス感染症、犬パラインフルエンザウイルス感染症、犬伝染性喉頭気管炎、犬伝染性肝炎、犬コロナウイルス感染症、犬レプトスピラ病です。
狂犬病ワクチン
生後91日以上の犬は、年1回の狂犬病ワクチンの注射と登録が狂犬病予防法で義務づけられています。現在世界各地で使用されている狂犬病ワクチンは、組織培養不活化ワクチンという製品で副反応(副作用)がとても少ないものです。
狂犬病ワクチンを注射する目的は、犬を守ることはもちろんのこと人を狂犬病から守るために行われています。狂犬病の人への感染の多くが犬にかまれることにより起こり、犬への狂犬病ワクチン接種が狂犬病撲滅と再発生防止に役立っています。狂犬病は、犬だけではなく人を含めたほとんどの温血動物に感染します。
日本国内では、50年前に狂犬病は排除できましたが、世界各地で狂犬病の発生があり毎年5万人の方が狂犬病で命を落としています。
猫の予防注射
猫3種混合ワクチン
猫の3種混合ワクチンは、猫汎白血球減少症(猫伝染性腸炎)、猫ウイルス性鼻気管炎、猫カリシウイルス感染症の3種類の病気が予防できます。特に猫汎白血球減少症は死亡率が高い恐ろしい病気です。残りの2種類は1度感染するとウイルスが一生体の中に残ってしまいます。ワクチンの接種の仕方は犬のワクチンと同じです。
犬猫のフィラリア症
フィラリア症は、蚊が媒介する寄生虫病です。蚊に刺されることにより心臓内に寄生虫が寄生します。感染したフィラリアは、数ヶ月かけて犬の心臓に達し濃厚感染を起こすと命を失うこともあります。1度フィラリアが感染してしまうと完治させるのは難しくなりますが、予防は比較的簡単に出来ます。予防はフィラリアに感染していないことを血液検査で確認してから5月から11月の期間(平均気温が15度以上)毎月1回の予防薬を与えます。近年地球温暖化の影響で暖かい時期が長く続く年は、12月まで予防をする必要があります。
また、猫にフィラリアの感染が起こった場合、症状が重篤で突然死することもあります。猫用の予防薬も製造されています。
ノミ・ダニの予防
外へ散歩に行くとノミやダニが寄生することがあります。ノミやダニの寄生は皮膚病を引き起こすだけではなく消化管内に寄生虫が感染することがあります。
ノミ、ダニは皮膚に滴下するスポット剤で予防することができます。
健康診断
当院では5歳以上(人にすると38才)の犬・猫に健康診断をおすすめしています。健康診断では、完全血球検査、血清生化学検査、X線検査、超音波検査、心電図検査、尿検査、糞便検査等を予算に応じて行うことが出来ます。病気を早期に発見し早期に治療を始められれば治る確率も上がりますし治療期間も短くてすみます。犬の場合毎年のフィラリア検査と一緒に行うのがおすすめです。
犬と人の年齢の対比(大型犬は少し異なります)
人 (才) | 1才 | 2才 | 3才 | 4才 | 5才 |
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犬 (年) | 20日 | 40日 | 60日 | 80日 | 120日 |
人 (才) | 10才 | 15才 | 18才 | 23才 | 28才 |
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犬 (年) | 200日 | 300日 | 1年 | 2年 | 3年 |
人 (才) | 33才 | 38才 | 43才 | 48才 | 53才 |
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犬 (年) | 4年 | 5年 | 6年 | 7年 | 8年 |
人 (才) | 58才 | 63才 | 68才 | 73才 | 78才 |
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犬 (年) | 9年 | 10年 | 11年 | 12年 | 13年 |
人 (才) | 83才 | 88才 | 93才 | 98才 |
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犬 (年) | 14年 | 15年 | 16年 | 17年 |
雌の不妊手術
雌の不妊手術は、卵巣と子宮を摘出する方法と卵巣のみを摘出する方法があります。どちらも手術の効果は変わりありません。
不妊手術の利点
不必要な繁殖を制限できる・発情期が来なくなる・卵巣子宮の病気がなくなる
不妊手術の欠点
体重が増える(食欲が増す)・まれに術後数年して尿漏れを起こすことがある
雄の去勢手術
雄の去勢は、睾丸を摘出します。
去勢の利点
睾丸の病気がなくなる・前立腺肥大や肛門周囲腺腫等の男性ホルモンによる病気が減る・マーキング(臭い付けで尿をかける行動)がなくなる
去勢の欠点
体重が増える(食欲が増す)