前十字靱帯断裂
前十字靱帯は、大腿骨(太ももの骨)と脛骨(すねの骨)を結ぶ靱帯の一つで、膝関節を安定させるとても重要な靱帯です。
ヒトでは、外傷により前十字靭帯断裂が起こりますが、犬の場合は、靱帯の変性や膝関節の構造が原因で起こります。
散歩の最中や低いソファーから飛び降りたり飛び乗ったりという軽い運動中に起こることがほとんどです。
治療
■保存療法
運動制限、消炎鎮痛剤の使用をしますが、半月板損傷や変形性関節症を併発するので、あまり良い結果は望めません。
■外科的治療
1.関節外制動法
関節の外側に糸で大腿骨と脛骨を締結して膝関節を安定させる方法ですが、糸のゆるみや断裂が起きてしまい再度不安定になってしまいます。
2.骨切り術
TPLO法、TTA法、CBLO法など方法があり、どれも高度な技術が必要ですが、世界的に多くの支持を受けている術式で早期の機能回復が望めます。
症例1
6Kgの雄犬、8才、2週間原因不明の跛行が続き来院しました。
左のレントゲン写真は、正常肢。右のレントゲン写真が同じ犬の前十字靱帯が断裂している足です。
前十字靱帯の断裂により脛骨(すねの骨)が反対側に比べ前方に変位しています。
【正常肢】 |
【前十字靱帯断裂】 |
下のレントゲン写真がTPLO法による手術後です。脛骨の変位がなく関節が正常の位置にあります。
【TPLO法による手術後】